シンプルな洗練されたデザインにリニューアルされた「ミライケージ」(動物用入院ケージ)開発について、今回開発チームにインタビューしました。素材や細かい技術的な部分まで製品開発への熱い想い、こだわりを是非ご覧ください。

リニューアル開発の経緯を教えてください

長年ステンレスケージを作ってくる中で、多種多様なご要望に応えてきました。結果として膨大な製品ラインナップとオプション類が積み重なってきて、それぞれの製品の良さがぼやけてきてしまいました。それらを集約し改良を加え、キラリと光る製品群に仕立て直したいと思うようになりました。

こだわりは?

衛生面や耐久性のことを考えるとステンレスという素材は、とても適した材料であることは間違いありません。リサイクルも出来るので環境負荷という面についても優れています。一方で「温かみ」や「やさしさ」のようなものを感じにくいという性質もあります。特に、扉の開け閉めの際発生する衝撃音であったり、犬が吠えたり動き回る時に発生する反響音についてはとても耳障りでストレスの原因になります。それらを改良するためにステンレスの本体を支えるパーツを樹脂化して音の振動を吸収するようにしました。また、扉を軽量化し衝撃音を少なくする工夫をしました。意匠的には扉の金具類のでっぱりを極力抑え、落ち着きのある静かでやさしいステンレスケージを目指しました。

開発で大変だった部分はありますか?

扉の開発には丸2年かかりました。その間、試作もかなりの回数を重ねました。重要テーマは二つあり、一つは扉の開きを左右入れ替え可能にすること、もう一つは扉の開閉音を小さくすること。ケージのご注文をお受けする際は必ず右開きか左開きかを確認しますが、扉周辺金具の左右共通化により、現場での左右の入れ替えが可能になりました。


扉の開閉音の発生原因は金属と金属がぶつかる衝撃にあります。その衝撃を少なくするには扉を軽くする必要がありました。今までの扉フレームは中が詰まった無垢材の丸棒を使用していました。軽くするために中が空洞の丸パイプを検討したのですが、求める強度が出ません。強度シミュレーションを繰り返しながら、最終的には軽くて強度が出る「角パイプフレーム」がベストであるとの結論にたどり着きました。ただ実際にそれを作ろうとしたところ、特殊形状なので曲げられる加工屋さんが無いという問題にぶち当たりました。他の方法も考えてみたのですが、軽くて強い角パイプフレームをあきらめることができませんでした。そこで、特注曲げマシンを依頼して作ってしまいました。安くありません(笑)でも、そのおかげで自社での曲げ加工ができるようになり、またフレームの軽量化に成功し、開閉音が静かな扉を完成させることができました。

入院ケージに対する想い

最近よくお問い合わせをいただいている犬や猫の管理基準/ガイドラインを把握する中で、長期滞在型の入院ケージとホテルとして預かるためのケージ、そして特に猫専用の滞在型ケージが必要とされることを感じました。短期入院用と長期滞在用をいかに両立していくか。また、犬用と猫用の違いを根本から考え直す必要がありました。猫ケージについては、自身で飼っている猫たちにたくさんのヒントをもらいました。実験的に、自宅を改造して猫ケージを作りこんで観察しました。昼間と夜の行動パターン、それぞれのくつろぎ方、必要なトイレの大きさ、排泄前後の行動、上下移動の様子、遊び方、視線や警戒行動等々。猫の特性と犬との違いも明確になり、新たな発見もありました。MIRAI(ミライ)ケージにはそれらの発見をもとに、新たな提案を盛り込むことができました。例えばMCハンガーレール、MC猫用ハンガーシェルフ、MC猫用上下通路、MC猫用パーティション等。是非、一度実際にご覧いただき手に取っていただければうれしいです。

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