動物病院で考慮したいリスクとその対応方法について
「リスク対策の手順」
- リスクの特定:考えられるリスクの洗い出し。ヒヤリハットの経験やリスクをイメージし、付箋1枚に1つづつ書きます。
- リスクの分析:付箋に書いたリスクの発生頻度や発生した場合の影響度に加え、そのリスクの源を考えましょう。
- リスクの評価:リスクマトリックス(*図1)に発生頻度と影響力を考えながら貼り、影響度の測定を行います。(図2.動物病院における一般的なリスクマップの例)
- 対応策の検討:全てを一括では対応できない事が多いので、優先順位を決めて対応します。
~可能でしたらスタッフ全員で考え作成することが理想ですが、難しい場合には完成したものを社内に共有することによってリスクに対する認知を合わせる様にして行きましょう~
リスクマトリックス
- リスクの移転(左上):発生頻度は少ないが影響は大きいリスク群
リスク移転の代表例は保険に加入し保険会社にリスクを移転する方法です。 - リスクの回避(右上):発生頻度も影響も大きなリスク群
リスク回避とは要因の排除ですが、排除できない場合はその事業を断念することです。 - リスクの保有(左下):発生頻度も影響も小さいリスク群
リスク保有とはリスクを受入れる方法です。
例:車両保険に加入しない事は、修理費を負担すると言うリスクを保有していることになります。 - リスクの低減予防(右下):発生頻度は大きいが、影響は小さなリスク群
起こり得るリスクを最小に抑える対策です。防止策を立て、リスクの源泉を分散させるなどの対策を取ります。また、事故が発生した時は迅速かつ効果的に被害を拡大させない対応手順や計画を策定します。
動物病院のリスクマップの例
リスクマップとは、リスクの大小を俯瞰的な視点で閲覧・比較・理解できるようにするために描かれる図表類のことです。リスクの損害規模を縦軸に、その発生頻度を横軸にとって、リスクの大小を描いたものです
動物病院特有の主なリスクとして5つが考えられます。
- 感染症管理: 動物病院内では感染症が広がる可能性があります。
感染症対策として定期的な清掃・消毒、適切なハンドハイジーン、病気の予防接種の推奨などが重要です。 - 職場安全: スタッフが安全に業務を行える環境を確保することが大切です。
(経営者は安全配慮義務があります)
重い機器の使用時には適切な訓練を提供し、安全な作業環境を維持します。また、適切な安全装備(手袋、マスク、保護メガネなど)を提供し化学物質や感染症などから保護します。 - 動物の取り扱い: 動物は予測不可能な行動をとることがあり、人や什器等に噛み付く可能性があります。
スタッフには適切な動物の取り扱い方や制御方法に関する訓練を行い、事故を防ぐ対策を講じます。 - 医療誤りの防止: 間違った治療や薬の投与を防ぐために、正確な記録の取り方や二重チェックの導入などを行います。
- コミュニケーション: 齟齬(そご)から起こるトラブル。
スタッフ間のコミュニケーションや、お客様とのコミュニケーションを円滑にする工夫を施し、インフォームドコンセントをしっかり行い誤解やミスを減少させます。
最後に
地球全体に目を向けますと各地で洪水や山火事などの自然災害が問題になっています。50年に一度の災害がいつどこで起こっても不思議ではなく他人ごとではありません。
特に日本では震災により事業継続が困難になる可能性があります。実際に東日本対震災関連倒産は発生後5年間で1,898件もありました。こういった事態を受け、中小企業庁では『事業継続力強化計画認定制度』を作りBCP対策を後押ししています。
会社を守る為に役立つと思いますし、補助金申請にも有利に働くと言う一面もありますので、リスク対策の一環としてこの機会に調べて頂ければ幸いです。