生命保険の支払い漏れについて一般社団法人 生命保険協会が次の通り公表しています。
2021年度に保険金等の支払いを行った事案に関し、支払い漏れ(*1)・請求案内漏れ(*2)が判明し、追加的な支払いを行った件数3,361件、追加の保険金は約3億9千万円。
支払い漏れ(*1)
保険金や給付金(入院や手術)の請求時に提出された診断書等に記載された内容から、支払い対象と判断する事が可能であったのに支払い漏れを起こした事案
請求案内漏れ(*2)
保険金・給付金の請求時に提出された診断書等に記載された内容から、請求を受けた保険金・給付金以外も支払える可能性がある保険金等があったにも関わらず、通常の検証作業で把握されず請求案内をしなかった事案
注目していただきたいのは3,361件中、お客様からの申し出があったのは323件しかなかったという点です。原因はいろいろあると思いますが、一番の要因は保障内容の詳細までは分からずに保険金請求しているため、支払い額や内容に疑いを持つことが無かったのだと思います。
今回は保険会社が事後の調査で気づき追加支払いしましたが、今後はこのような事が起こらないようの支払いフローの改善を願うばかりです。
さて、上記は請求したにも関わらず支払って貰えなかったケースですが、そもそも保険は請求しないと受取れません。対象になることを知っていれば請求すると思いますが、知らなければ請求することはできません。契約時に詳しく聞いていたとしても、覚えている方は少ないので請求忘れや請求漏れのケースの方が多いと感じています。
そこで、動物病院で請求漏れが懸念される2つの例をご紹介します。
【ケース1】火災保険に加入している建物に車が飛び込み、建物と什器の修理費を車(加害者)の保険が補償した
・加害者の保険で補償を受け修理した場合でも、火災保険に『臨時費用』が付加されていると臨時費用保険金が受け取れます。
・加害者が保険に加入していない場合は迷わず、火災保険に聞いてみましょう。「物体の落下・衝突」の補償が付加されていれば火災保険から修理費が支払われます。
《ポイント》
臨時費用保険特約に加入していると、加害者から補償を受けた場合でも、自分の保険を使った場合でも保険金を受け取ることができます。
【ケース2】大型犬が暴れて医療器械を壊したが、リードはスタッフが持っていた等の理由でお客様に請求できない
・火災保険に「不測且つ突発的に起きた破損や汚損補償」が付加されていると保険の対象となります。
《ポイント》
不測且つ突発的な補償に加入していれば、動物に限らず人が起こした「誤操作」や「落下による破損」なども対象となる場合があります。(保険会社によって対応が異なる)