動物愛護法と動物病院

動物愛護法改正

動物愛護法は、動物の虐待や遺棄などの行為を禁止し、動物の保護に関する規定を定めた法律です。近年、動物愛護に関する意識の高まりから、動物愛護法の改正が進められています。

昭和48年に議員立法で制定された動物愛護法は、平成11年、平成17年、平成24年、令和元年に議員立法による主たる法改正が行われています。令和4年 6月1日から規定の一部である犬猫のマイクロチップ制度が施行されたところです。

対象動物は、家庭動物、展示動物、産業動物(畜産動物)、実験動物等の人の飼養に係る動物になります。

令和元年6月19日に公布され、令和2年6月1日に一部を除いて施行された主な内容は以下の通りです。

  1. 動物の所有者等が遵守する責務の明確化(第7条関係)
  2. 第一種動物取扱業による適正飼養等の促進等
  3. 動物の適正飼養のための規制の強化
  4. 都道府県等の措置等の拡充
  5. マイクロチップの装着等
  6. その他
  7. 罰則の強化等

引用:環境省HP

これらの改正により、動物愛護に関する取り組みが一層強化され、動物たちがより良い環境で保護されることが期待されています。

動物取扱業の規制

第一種動物取扱業者(動物の販売、保管、貸出、訓練、展示、競りあっせん、譲受飼養を営利目的で業として行う者)は、動物の適正な取扱いを確保するための基準等を満たしたうえで、都道府県知事又は政令指定都市の長の登録を受けなければなりません。登録を受けた動物取扱業者には、動物取扱責任者の選任及び都道府県知事等が行う研修会の受講が義務づけられています。また、都道府県知事又は政令指定都市の長は、施設や動物の取り扱いについて問題がある場合、改善するよう勧告や命令を行うことができ、必要がある場合には立入検査をすることができます。悪質な業者は、登録を拒否されたり、登録の取消や業務の停止命令を受けることがあります。

 また、飼養施設を設置して営利を目的とせず一定数以上の動物の取扱いを行う場合については、第二種動物取扱業者(動物の譲渡し、保管、貸出、訓練、展示を非営利で業として行う者)として、都道府県知事や政令指定都市の長に届け出なければなりません。

引用:環境省HP

第1種動物取扱業

第1種と第2種の大きな違いは、当該業務を営利目的で行うか非営利目的で行うかという点です。

 そのため、動物病院でペットホテルや、トリミング等のペット美容を営むことになる場合は、基本的に保管業としての届出・登録が必要ということになります。

ご注意

動物取扱業の規制は各都道府県の担当管理の判断によるため、必ず管轄の担当機関にご確認ください

入院は保管業?

 病気の動物や病気の疑いのある動物を、治療や検査のために入院をする事があると思います。その場合、入院は「保管」業に該当するかどうかについては下記になります。

〇保管

  • 業の内容:保管を目的に顧客の動物を預かる業
  • 該当する業者の例:ペットホテル業者、美容業者(動物を預かる場合)、ペットのシッター

引用:環境省HP

入院は保管を目的とせず、治療や検査を目的としているため「保管」業でないことが分かります。

ただし、各都道府県の担当管理の判断によるため、必ず管轄の担当機関にご確認ください

動物愛護管理法の飼育管理基準

基準省令の施行期日

令和3年6月1日とし、一部の規定については経過措置を設ける。環境省、関係行政機関、第1種動物取扱業者・第2種動物取扱業者等の連携を図り、基準の適用に伴う遺棄、殺処分、不適正飼養等を生じさせないよう、繁殖を引退した犬猫や保護犬猫の譲渡が促進される環境づくりを進める。

基準省令の対象範囲

<犬猫を取り扱う事業者全般>

  • 販売業、保管業、貸出業、訓練業、展示業、競りあっせん業、譲受飼養業。
  • 第1種動物取扱業者(営利)に限らず、譲渡団体等の第2種動物取扱業者(非営利)にも準用。 ・犬猫以外の哺乳類、鳥類及び爬虫類に係る基準についても、今後検討を進める。

運動スペース分離型飼養等(ケージ飼育等)を行う際のケージ等の基準

<寝床や休息場所となるケージ>
 犬:タテ(体長の2倍以上)×ヨコ(体長の1.5倍以上)×高さ(体高の2倍以上)
 猫:タテ(体長の2倍以上)×ヨコ(体長の1.5倍以上)×高さ(体高の3倍以上)
1つ以上の棚を設け2段以上の構造とする。
・複数飼養する場合:各個体に対する上記の広さの合計面積と最も体高が高い個体に対する上記の高さを確保。
<運動スペース>
・下記の一体型飼養等と同一以上の広さを有する面積を確保し、常時運動に利用可能な状態で維持管理する。

運動スペース一体型飼養等(平飼い等)を行う際のケージ等の基準

 犬:床面積(分離型ケージサイズの6倍以上)×高さ(体高の2倍以上)
複数飼養する場合:床面積※(分離型ケージサイズの3倍以上×頭数分)と最も体高が高い犬の体高の2倍以上を確保。
※床面積は、同時に飼養する犬のうち最も体長が長い犬の床面積の6倍以上が確保されていること。
 猫:床面積(分離型ケージサイズの2倍以上)×高さ(体高の4倍以上)、2つ以上の棚を設け3段以上の構造とする。
複数飼養する場合:床面積※(分離型ケージサイズの面積以上×頭数分)と最も体高が高い猫の体高の4倍以上を確保。
※床面積は、同時に飼養する猫のうち最も体長が長い猫の床面積の2倍以上が確保されていること。
・繁殖時:親子当たり上記の1頭分の面積を確保(親子以外の個体の同居は不可)。

ケージ等及び訓練場の構造等の基準

 金網の床材としての使用を禁止(犬又は猫の四肢の肉球が傷まないように管理されている場合を除く)、錆、割れ、破れ等の破損がないこと。

引用:環境省HP

ご注意

飼育管理基準は各都道府県の担当管理の判断によるため、必ず管轄の担当機関にご確認ください。 

ランケージの活用

 実際の動物病院では「運動スペース分離型」は現実的ではなく、多くの病院では、室内にランドアを設置して「運動スペース一体型」で対応をしています。しかし、既存の病院で新たにランドアは設置する場合、室内の改装が必要になるため、多額の費用がかかります。その場合、施設の大きさに合わせて特注でサイズを変えられる「ランケージ」がお勧めです。

「ランケージ」について、ご不明な点等がございましたら弊社までご相談ください。

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