こんにちは。JAMosの小澤です。 プロダクトは東京メニックスが専門かと思いますので、それ以外の建築などの視点から参考になる内容をお伝え出来ればと考えております
農林水産省による、令和3年の12/31時点での動物病院(小動物等の診療施設)は、全国で1万2千(12,102)あり、都道府県ごとの人口あたりの病院数という比較が出来ます。
あわせて狂犬病の予防というところで厚生労働省による犬の頭数(令和3年)というのも公表されていますのであわせてみてランキング形式にしてご紹介いたします。
病院数ランキングと犬登録数
病院数が多い都道府県と犬登録数は次の通り
順位 | 都道府県 | 病院数 | 犬登録数 |
1 | 東京都 | 1809 | 519234 |
2 | 神奈川県 | 1124 | 448933 |
3 | 大阪府 | 815 | 385791 |
4 | 埼玉県 | 778 | 347951 |
5 | 愛知県 | 694 | 431908 |
6 | 千葉県 | 684 | 308771 |
7 | 兵庫県 | 545 | 295835 |
8 | 北海道 | 499 | 241556 |
9 | 福岡県 | 426 | 257475 |
10 | 静岡県 | 364 | 199400 |
11 | 茨城県 | 282 | 162615 |
12 | 京都府 | 249 | 117067 |
13 | 広島県 | 239 | 142552 |
14 | 長野県 | 198 | 100532 |
15 | 群馬県 | 191 | 106601 |
16 | 栃木県 | 178 | 101329 |
17 | 宮城県 | 178 | 107282 |
18 | 岐阜県 | 167 | 117533 |
19 | 三重県 | 153 | 115078 |
20 | 岡山県 | 153 | 101035 |
21 | 新潟県 | 151 | 85292 |
22 | 鹿児島県 | 137 | 72439 |
23 | 熊本県 | 137 | 83430 |
24 | 福島県 | 132 | 91724 |
25 | 奈良県 | 129 | 56400 |
26 | 沖縄県 | 123 | 63991 |
27 | 山口県 | 121 | 67836 |
28 | 滋賀県 | 109 | 76359 |
29 | 愛媛県 | 101 | 77548 |
30 | 石川県 | 94 | 47742 |
病院数について
開業の方向性や競合対策などを考慮した開業する(或いは開業している)獣医師さん向けの記事としていますので、「公的な病院と産業動物病院を除いた、会社など+個人の小動物等の病院数」でカウントしています。
例えば、東京については 会社(小動物)894 + 個人(小動物)915 =1809 となります。
集客力を必要とする動物病院(犬のみで算出)
① 犬1000匹に対する病院数、病院/犬を算出してみます。
計算式:病院数÷犬登録数(単位は犬1,000頭あたりにします。)
② 1病院当たりの犬頭数を算出しています。
計算式:犬頭数÷病院
その順位が高いと飼主さんも病院選択肢が増え、病院側は集客力を要します。
都道府県のベスト20
順位 | 都道府県 | ①犬千頭当たりの病院 | ②1病院当たりの犬頭数 |
1 | 東京都 | 3.48 | 287 |
2 | 神奈川県 | 2.50 | 399 |
3 | 奈良県 | 2.29 | 437 |
4 | 埼玉県 | 2.24 | 447 |
5 | 千葉県 | 2.22 | 451 |
6 | 京都府 | 2.13 | 470 |
7 | 大阪府 | 2.11 | 473 |
8 | 山梨県 | 2.07 | 483 |
9 | 北海道 | 2.07 | 484 |
10 | 長野県 | 1.97 | 508 |
11 | 石川県 | 1.97 | 508 |
12 | 沖縄県 | 1.92 | 520 |
13 | 鹿児島県 | 1.89 | 529 |
14 | 兵庫県 | 1.84 | 543 |
15 | 和歌山県 | 1.83 | 545 |
16 | 静岡県 | 1.83 | 548 |
17 | 鳥取県 | 1.82 | 551 |
18 | 群馬県 | 1.79 | 558 |
19 | 山口県 | 1.78 | 561 |
20 | 新潟県 | 1.77 | 565 |
奈良県
奈良県が3位2.29でランクインしています。129院なので25位(47都道府県)ですが、頭数あたりで病院数が多いというのは診察室が少ない病院が多い?
また、奈良市の市長会見で興味深い報道がありました。
【市長会見】犬猫殺処分ゼロを4年連続で達成しました(令和5年5月30日発表)
「奈良市では「犬猫の殺処分ゼロ」を目標に掲げ、保護犬・保護猫の引取数減少や新たな飼い主への譲渡機会の拡大に向けた様々な取組を推進してまいりました。
令和4年度、自然死・安楽死を除いて、「殺処分ゼロ」を達成。令和元年度から4年連続での達成となりました。
これは行政のみだけでなく、市民や民間事業者、動物愛護団体等の方々の協力を継続して得ながら保護犬・保護猫の譲渡活動などに取り組んできた結果であり、今後も殺処分ゼロを継続して達成できるよう、取り組んでまいります。」 引用:奈良市HPより
関連性については未確認ですが、これは愛護意識が高い市に多くの動物病院需要がある?といえるのかもしれません。
環境省の統計資料「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」によると奈良市は直近の2022年でも処分数が1匹ですし愛護に対する市の意識が高いのですが、県としては野良が多く処分数も多いです。ぜひ奈良市のスキームを県全域までひろめてほしいなと思います。
傾向と対策
ランキング外ですが福岡が26位1.65、愛知28位1.61です。(まだ増やせる?)
1.38以下の福井、三重、愛媛、富山、青森、佐賀、香川はもっと増やせる。開業の方向性を考える要素になるかもしれません。地域など条件もあると思いますが(猫数・診療圏の偏り・住環境・戸建数と犬の関係・飼主さん年齢層)東京の倍率からすると、他の都市の病院数は増えても良さそうな気がします。
ここから市区町村あたりを調べていければ、その町がその県の平均のどのあたりにあるのか、大都市圏と比較してどうなのかなど対策を検討できるかもしれません。
JAMos 小澤
株式会社JAMosについて
JAMosは、動物病院における不動産と設計を含めた建築側の視点から、様々な段階(テナント・土地のご契約前、設計時、工事着工後、建築時など)のポイントや工夫などの情報を紹介できればと考えています。引き続きお付き合い頂ければ嬉しいですので今後ともよろしくお願いいたします。