動物病院のドアについて(株式会社JAMos)

 はじめまして、JAMosの小澤です。東京メニックスのコラムを担当させていただきますのでどうぞよろしくお願いいたします。 プロダクトの視点は、動物用医療器メーカーの東京メニックスにお任せするとして、JAMosからは製品を設置する上で必要な設計について、建築的な視点からお伝え出来ればと考えております

動物病院はドア幅について気を付ける必要がある建物なのですが、今回のテーマは動物病院のドアについてになります。

ドアの幅

幅については、それぞれです。(ここでは木枠の内側と内側の距離について、単位はミリ)

ドアの幅用途、対応するドア
700mm受付裏やトイレなど小さな室用、650という場合もあります。
750mm上記と同じ、又は800をとれない場合にはこのサイズとなります。
800mm動物病院の標準となるサイズです。
850mm標準としたいサイズ、その他手術室など広めがよい場所の戸です。
900mm~手術室はこのサイズが望ましいです。面積的に大きい病院は全てこのサイズで採用する事もあります。
診察室の引き戸

 大は小を兼ねるということも有り、全て800~900mmで、というのが理想ですが、テナントなど限られているスペースの中で、先生からのご要望室数を満たすとなると難しいケースが多々あります。

機器の搬入

 もちろん全部広くなくても可能ですが注意点として、800mm以上の機器搬入ルートを最低1つ以上確保するということかと思います。

 もう一つ、単に幅があってもNGの場合があります。長さのあるケージの搬入では平面的に回転させながらの搬入となるので、外部からの入口から、入院室まで壁に当たらないようなルートを確保します。

ですので、基準となってくるのは基本的にケージサイズということになります。

ルート

 具体的なルートとしては

エントランス→待合→診察室→検査処置室→入院準備→入院室

までが、必要な幅をもたせるドアになるようにします。

デザイン

 ここで建築デザイン上の視点から、待合側から見えるドアについては診察室が2つ又は3つなどの場合、1つの診察室で通過が出来るように1つだけ広いものでも、もちろん良いのですが、診察室が並んでいるとサイズの違いに違和感が出てきます。

(もしかしたらそう思うのは建築関連の人間だけかもしれませんが)

なので、そこは無駄でも統一した幅にします。

ドアの形式と材質、また用途について

ちなみに、動物病院にはいろいろな形式のドアがあります。

引き戸引き込み戸開き戸
上吊片引き戸、動物を抱いて移動しやすいので標準とします。クライアントゾーン側ではオートクローズ/ソフトクローズ機構をつけることが多いです。引き込み戸にすると、引き込み側の壁にモニターなどを、取り付けることができます。一部の枠を吊込み後に取付けする場合もあり、また下地となる壁厚などやや考慮が必要です。防音や毛が入りづらいような工夫をすることができ、入院室やトリミング室などに採用することが多いです。

材質的には

木製ドアガラス戸鉛戸スチールドア
骨組みが木製で表面はメラミンやポリなどの面材が貼られる。動物病院で多く採用されています。室内を見せる用途でサッシやパーテーションで大半がガラスのパターンと、木製ドアにガラスを入れる場合もガラス戸と呼ぶことがあります。内部に鉛板が入っておりX線室やCT室用の戸です。LSD(軽量鋼製ドア)など木製より値段は高くなりますが、耐久性のある戸で、大きな病院で採用されます。

用途や使い勝手からは

単なる間仕切戸防音ドア放射線防護の戸
(内容は重複しているところがあるので割愛します)

 それぞれ特有の機能をもたせる必要上、既製品のドアではなく製作する方がBESTです。幅だけでなく用途別の仕上げと性能、デザイン的な面でも自由ですし、動物をイメージした形状のガラス部分の加工もできますので印象にのこる病院ができるかと思います。

JAMos 小澤

株式会社JAMosについて

 JAMosは、動物病院における不動産と設計を含めた建築側の視点から、様々な段階(テナント・土地のご契約前、設計時、工事着工、建築時など)のポイントや工夫などの情報を紹介できればと考えています。引き続きお付き合い頂ければ嬉しいですので今後ともよろしくお願いいたします。

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